【ひがしやしき】なにものにもなれないわたしたちだった
こんにちは、くじらです。
執筆:𝙆𝙐.𝙅𝙄.𝙍𝘼 (@p001_POOL) on Twitter
アマチュアとプロの垣根がゆるくなった現代、皆さまはいかがお過ごしですか。私は割と「プロっぽいもの」にとらわれがちです。Twitterバズ出身の漫画家さんの作品を買うのがちょっと恥ずかしかったりね。
そんな中とっても気に入ってずっと聴いてるアーティストがおります。その名も「ひがしやしき」
オタクが初めて作ったラップソングの再放送です。よろしくお願いします。 pic.twitter.com/L3CQk6Umoa
— ひがしやしき (@higashi_yashiki) 2019年9月4日
チルな日本語ラップと、さらっと軽くてでもしっかりと耳に残るメロディ、そして「オタクくんソング」であることが主な特徴な気がします。薬物の名称と萌えアニメが同じ曲の中で歌われる奇妙さは、vaporwave的なインターネット文脈からも捉えることができそうです。
ひがしやしきにハマったきっかけは、オモロツイートを繰り出す人たちをまとめてフォローしている裏垢で流れてきたことからでした。先に引用した「Dassaiバッグ」が最初に聴いた曲でした。ダッサイバッグを持ってるオタクのメロディじゃねえだろこれはと思った記憶があります。
そうなんです。ひがしやしきのラップはめちゃめちゃオタクくんのリリックを繰り出しながら、めちゃめちゃポップで素直なんです。(※ひがしやしきはユニットですが、どこまでは個の考えなのかは、1ファンの私からは推測の域を出ないので、「ひがしやしき」という概念をひとくくりで話していきます。今回はラップと作詞をメインにお話はします)
そんなひがしやしきのアンバランスな魅力を少しだけでも隠でも陽でもない「無属性」オタクの皆にお伝えしたくて……大二病でJ-POPをするその、オタクを免罪符にしない真っ直ぐさが大好きなので、大好き〜〜〜って言いながらブログ書いていきま〜〜す。長いで〜〜〜す。
《大二病でもJ-POPがしたい!》
最近の楽曲のタイトルから。
かなり可愛いサウンドで鳴らされる、楽曲を発信することの素朴な嬉しさが印象的なトラック。キャッチーでポップに聞かせてくれる。私もまあ普通にオタクではあるので、ポップ宣言の重みはよく理解できる。オタク、隠の者(いんのもの)としてのアイデンティティだけで生きていけがちなのである。オタク、暗号的コミュニケーションも大好きなのである。個人的に虫酸が走るほど嫌いだが、淫夢語録が長い間ミーム化しているのもそのせいであろう。自分を「隠の者」と定義付けるだけで、いくらか生きやすくはなるだろう。ぼっちクリスマス、と自らを嘲笑するときに、寂しさを切り売りできるように。
一瞬話を逸らすが、あるメディア発信のネットラジオで「隠の者がポップにいくことのヤバさ」について語っている回があった。このラジオのパーソナリティは別の回でも自身を「隠の者」「ひねくれた性格」「オタク」と称しているが、ここでは「歪んだ人間がまっすぐなものを出す大変さ」を語っている(面白いから聴いてね)。
私はただ2011年のアニメが好きなオタクだが、ポップに生きることも「限界オタク」として自身を切り売りすることも行なっている。モンハンをする私の周りには吸殻とアニメフィギュアが溢れて、それでも表参道で買ったお香を焚きながら人気YouTuberをこっそり再生したりするのだ。ひがしやしきがポップ宣言をしてくれたから、一緒に真っ直ぐになれたオタクがたしかにいたと思う。逆張りしかできねえつまんねえオタクな私たちも、J-POPで踊れるんだよな。嬉しいよ。
彼の楽曲にはオタク的文脈をあまり反映させていない名曲も多数あるが、その中でも、上記の立ち位置を非常に象徴するようなタイトルのものがあるので、引用しておく。
オタク観というのは今どのあたりなのだろうか。二郎系ラーメンを「タピオカなう」と言ってアップしたり、ジャンプに乳首が登場したことでお祭りになったり、そのあたりはもう古いのか。私の中のオタク観は以下に尽きる。
私のオタクの友達、みんな「変わることを嫌がり、いくらヤラシイことをしてもうだつがあがらず、のびてゆく髪やギターに被ってゆく埃の中に、あったような眩しい夏を取っておきたい」みたいな人なんだけど、どうやら世間のオタク観とちがうっぽい。
— 𝙆𝙐.𝙅𝙄.𝙍𝘼 (@p001_POOL) 2019年10月25日
漫画やアニメの話を楽しくできる友達は、基本的にこんなやつらばっかりだった。全員キラキラもしていなかったし、ポップでもなかったけれど、徒党を組むことはなかった。シーシャを一緒に吸ったオタクの先輩は、留学先で大麻を吸っていた。でもみんな踊ることは大好きで、キャッチーであることにある種の価値を置いていた。「オタクラップ」がひがしやしきの元で実現されていることが、私にとってどれだけ救いだったかは推して知ってくれ〜〜。
これは「今期のアニメ神すぎwwww」とか、さまじまなオタク文脈とかに少し疲れた、同じアニメを繰り返し見ては泣いている、普通の女の吐露ブログ。
1番好きな曲流して終わるわ。
執筆者:𝙆𝙐.𝙅𝙄.𝙍𝘼 (@p001_POOL) on Twitter
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